エルメスにバーキンの予約はない|順番待ちの列が存在しない理由

バーキンの入荷連絡を待っている方がいます。「入ったら教えてください」とお願いして、半年、1年と待っている。ただ、エルメスに予約という仕組みはありません。待っている列そのものが、存在していません。

株式会社TBTの田畑と申します。ブランド卸の会社でエルメスを4〜5年担当したあと、独立しました。今はエルメス専門で買取と販売をしていて、月に50〜100点を見ています。年間の取引は5億円ほどです。

買い取る側から見ていると、正規店で何が起きているかが、品物とお客様の話の両方から見えてきます。今日は、待つという行為そのものの話をします。

時計には予約があります。エルメスにはありません

ロレックスなど、時計の世界には予約に近い仕組みがあります。欲しいモデルを伝えておいて、入荷したら連絡が来る。順番があり、待てば前に進むという感覚が成立します。

エルメスは、完全に予約ができません。仕組み自体がない、という言い方のほうが近いです。

「入荷したらご連絡しますね」と言われた経験のある方は多いと思います。あの一言は、順番待ちのリストに名前が載ったという意味ではありません。実際に連絡が来る方はいますが、それは列の順番が回ってきたからではなく、その店員さんがその時に思い出す相手だったからです。

この違いは大きいです。列があるなら、待つことは前進です。列がないなら、待っている時間は何も積み上げていません。

唯一の例外が、パーソナルオーダー

ひとつだけ、注文に近いものがあります。パーソナルオーダーです。革の色や金具を自分で選んで、自分のために作ってもらう。エルメスで「頼んで作ってもらう」に一番近い形です。

ただ、これは超上顧客だけの世界です。それ以外の方には、まずやってもらえません。お願いして順番が来るというものではなく、声がかかる側に立っている人だけが使える枠です。

つまり、一般のお客様から見える範囲に、予約という選択肢はひとつもありません。

「待てば近づく」が成立するかどうか
時計の予約 リストに載る。順番が進む。待った時間が前進になる
パーソナルオーダー 革と金具を選んで作ってもらえる。ただし超上顧客のみ
通常の来店 列はない。その日その店に何があって、そこにいたのが誰か。それだけ

※ 入荷連絡をお願いすること自体は自由ですが、順番待ちのリストに載るわけではありません。

決まっているのは、その日そこに何があったか

では何で決まっているのか。今日その店舗に何が入っていて、その日そこにいたのが誰か。ほとんどこれです。

私自身、阪急梅田が改装中に出していた一時店舗に1回行っただけで、ケリー25を定価で買えました。通い詰めたわけでも、担当者がいたわけでもありません。逆に、何年も同じ店舗に通って、一度も案内されない方もいます。期間の問題ではないということです。

運の要素は、正直に言って大きいです。ただ、運だけではありません。動かせる部分が3つあります。どの店舗に行くか、どう聞くか、その日どう見えるか。

店舗ごとに入荷の偏りは実際にあります(エルメスの店舗選びにまとめています)。聞き方も、バーキンと名指しするかどうかで返ってくるものが変わります(エルメス正規店での聞き方)。列に並んでいるつもりで待つより、この3つを整えるほうが確率は動きます。

買えない日を、どう使うか

ここまで読むと、身も蓋もない話に聞こえるかもしれません。実際、デフォルトは買えないです。行けば買えるものではありません。

だからこそ、買えなかった日に何を買うかが効いてきます。実績を積んでおくこと自体は無駄になりません。問題は、その積み方で消える金額が20倍変わることです。シルバーのアクセサリーなら手放しても8割ほど戻りますが、洋服は2割です。同じ「1回の実績」でも、残るものがまったく違います。

何を選べば損が小さいかは、エルメスの購入実績づくりで何を買うかに、商品名と換金率で書いています。予約という手が使えない以上、打てるのはこちらの手です。

よくある質問

「入荷したら連絡します」と言われました。待っていれば連絡は来ますか?

来ることもありますが、順番待ちのリストに載ったわけではありません。エルメスに予約の仕組みはないので、その連絡は約束ではなく、店員さんがその時に思い出した相手に入るものです。連絡を待つことを前提に予定を組まないほうがいいと思います。待っている間に別の店舗を回るほうが、確率は上がります。

パーソナルオーダーは、どうすればお願いできますか?

お願いして始まるものではありません。超上顧客と呼ばれる層だけが使える枠で、それ以外の方にはまず案内されません。革の色や金具を選んで作ってもらえる仕組みですが、一般のお客様が目指す現実的な入り口ではない、というのが正直なところです。

予約ができないなら、通う意味はないのですか?

意味はあります。ただ「通った回数が順番を進める」という考え方は捨てたほうがいいです。同じ店舗で顔を覚えてもらうことには意味がありますが、それは列を進めているのではなく、その日案内する相手として思い出してもらいやすくなるという話です。回数より、行った日の中身のほうが効きます。

正規店以外で「予約できます」と言われました。

それは中古の販売店や並行輸入の話で、正規店の予約とは別のものです。入荷したら回してもらえるという意味であれば成立しますが、価格は正規店の定価ではありません。定価で買いたいのか、早く手に入れたいのか。この2つは別の目的なので、混ぜて考えないほうがいいです。

列がないと分かってから、動き方が変わる

予約があると思っている間は、待つことが正しい行動に見えます。連絡が来ないのは順番がまだだからだ、と説明がついてしまう。

実際には列がありません。だから、待っても近づきません。厳しい話ですが、ここを知っているかどうかで、1年の使い方がまるで変わります。

私がケリー25を買えたのも、待った結果ではありませんでした。改装中の店舗にたまたま寄って、聞き方を変えて、断られた後にもう一度聞いただけです。運は確かにありました。ただ、その運を受け取れる場所に立つところまでは、自分で決められます。

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