先日、LINEに友だち登録をいただいて、その数時間後には、エルメスのケリー2点の買取が決まりました。写真が届いてから金額のご案内まで、やり取りはおよそ2時間半。お店に一度も来ていただいていません。
「写真だけで、本当に査定なんてできるのか」。そう思われる方が多いのを知っているので、今日はこの実例をもとに、写真の何を見て金額を出しているのかを種明かしします。
株式会社TBTの田畑と申します。ブランド卸の会社でエルメスを4〜5年担当したあと、独立しました。今はエルメス専門で買取と販売をしていて、月に50〜100点を見ています。年間の取引は5億円ほどです。
その日のやり取りは、こう進みました
午後3時すぎにLINEの登録があり、1時間半ほどして写真が届きました。ケリー28が2点。どちらもトゴで、傷のない状態の良い個体でした。いただいた情報は、型、色、金具、刻印。それだけです。
そこから1時間かからずに金額をご案内して、夕方には「買取よろしくお願いします」のお返事をいただきました。登録から2時間35分です。
特別に急いだわけではありません。写真と4つの情報が揃っていれば、査定は本来この速さで終わるものです。
写真の何を見ているのか。4つだけです
種明かしをすると、見ているところが決まっているから速いのです。
1つ目が革。高く動く順番は、トゴ、エプソン、トリヨンクレマンスで、この順位はほぼ動きません(革の種類の記事)。2つ目が色。黒、エトープ、ゴールド、エタンのベーシック4色が常に高い位置にいます(色の記事)。
3つ目が金具。ゴールドとシルバーの相場は年に数回入れ替わるので、いま市場でどちらが強いかは、毎日品物を見ていないと分かりません(金具の記事)。4つ目が刻印。ここに製造された年が入っていて、査定の前提になります(刻印の記事)。
革、色、金具、刻印。うちは毎日のようにエルメスの出入りがあるので、この4つが写真で確認できれば、相場は肌感覚で出ます。逆に言うと、お店に持ち込んでいただいても、見ているのは同じ4つです。写真で済む部分を、わざわざ運んでいただく必要がない。
「金額を聞いてから断る」が気まずい方へ
売ろうか迷っているものをお店に持ち込むと、目の前で査定され、金額を聞いて、その場で返事を求められているような空気になります。あれが嫌で動けない方は、本当に多い。
LINEの査定は、その空気ごと取り除けます。金額だけ聞いて、そのまま終わって構いません。今回の方は即決されましたが、見立てを聞いて何ヶ月か考える方も普通にいらっしゃいます。査定は売る約束ではなく、判断材料です。売り時の記事に書いた通り、時期を選ぶ余地もあるので、数字を先に知っておくこと自体に価値があります。
よくある質問
写真は何を撮って送ればいいですか?
全体が分かる写真と、刻印まわり、金具まわりの3枚が基本です。革と色は全体の写真で分かります。刻印の場所が分からなければ、そのまま送っていただければこちらでご案内します。きれいに撮る必要はありません。
傷や使用感があっても、写真だけで査定できますか?
できます。角や持ち手など、気になる部分を写真に足していただければ、それを含めた見立てをお返しします。実物の確認で金額が動く場合は、その可能性も先にお伝えします。後から理由なく下げるようなことはしません。
査定してもらったら、売らないといけませんか?
いいえ。査定だけで終わって構いません。売るかどうか決まっていない段階のご相談が実際に多く、見立てを聞いてから何ヶ月か考える方もいらっしゃいます。こちらから催促の連絡を重ねることもありません。
金額の連絡まで、どのくらいかかりますか?
原則24時間以内にお返事しています。今回の実例のように、写真と情報が揃っていれば数時間で出ることも多いです。毎日エルメスを扱っているので、相場を調べ直す時間が要らないためです。
2時間半の正体は、毎日の積み重ねです
この速さは、便利なシステムの話ではありません。毎日エルメスだけを見ているから、写真の4つの情報で相場が出せる。それだけのことです。
クローゼットに、出番の減ったエルメスがある方。売るかどうかは、まだ決めていなくて大丈夫です。ただ、今いくらなのかを知るのに、もう半日も要りません。写真を送るところまでなら、3分です。

