仕入れを増やしたい。でも、どこから引けばいいのか分からない。ブランド品を扱う事業者の方から、いちばん多く受ける相談です。
株式会社TBTの田畑と申します。ブランド卸の会社でエルメスを担当したあと、2024年に独立しました。今はエルメス専門で、月に50〜100点、年間で600〜1,200点を動かしています。
仕入れのルートは、大きく3つしかありません。古物市場、卸業者、海外からの直仕入れです。この3つは「どこで買うか」の違いではなく、値段が誰によって決まるかの違いです。そこを分けて考えないと、ルートを増やしても結果は変わりません。
古物市場|値段は、その日の参加者が決める
市場の値段は、自分では決められません。決めているのは、その日その場にいる業者の数と熱です。同じ品が、先週より20万円高いことも、安いこともあります。
特に動くのが、刻印の切り替わる時期です。エルメスの製造年を示す刻印は毎年2月に変わります。切り替わったあとに売ったほうが高いので、12月から1月は業者が手持ちを売り渋る。出てくる玉が減って、買い手の数は変わらない。値は上がります。
この時期に「今日は玉が薄いな」と思いながら、手ぶらでは帰れないと競り上げる。高値掴みの正体は、目利きではなく時期です。詳しくはエルメスの卸仕入れに書きました。
市場が悪いという話ではありません。玉の量と種類は圧倒的です。ただ、仕入れ値を計画に組み込めないという性質がある。そこだけは動かせません。
卸業者|値段は、相手との関係で決まる
卸から引く場合、値段は競りではなく、相手との条件で決まります。同じ品を、先週と同じ考え方で出してもらえる。これが市場との最大の違いです。
そのかわり、相手を選ぶ必要があります。見るところは3つだと思っています。
1. どこから仕入れている会社か
卸業者といっても、自分も古物市場で買っている会社があります。その場合、市場の値動きがそのまま掛け率に乗ってきます。市場から1段離れただけで、構造は同じです。
聞くべきことは単純で、「どこから仕入れていますか」です。答えられない相手なら、そこは市場と変わりません。
2. 掛け率が、取引量で変わるかどうか
初回だけ高く、量が増えたら下げる。これは珍しくない商習慣です。ただ、始めるときの判断材料にはなりません。最初の掛け率で採算を計算しても、その数字が続く保証がないからです。
TBTは、掛け率を初回でも継続でも変えていません。最初に出した数字がそのまま続きます。そうしないと、相手が仕入れの計画を立てられないからです。
3. 1点から出してもらえるか
ロットの条件がある相手だと、試せません。合うかどうか分からない段階で、まとまった金額を動かすことになります。
TBTはロットの最低条件を設けていません。1点からお出しします。ただしエルメスは1点の単価が大きい商材なので、ある程度の商売の実績と、金額の大きい商品をさばける販路をお持ちであることが前提になります。
海外からの直仕入れ|値段は、為替と現地相場で決まる
3つめが海外からの直仕入れです。国内の市場や卸を経由しないぶん、仕入れ値は下がります。
かわりに、別のものが要ります。現地の取引先、言語、送金と輸入の手続き、そして現物を見ずに買う判断です。立ち上げの負担がいちばん重いルートで、片手間では成立しません。
TBTはヨーロッパの取引網から直接仕入れています。中間流通を挟まないので、価格と鮮度の両方で差が出ます。新品は海外へ、中古品は国内の事業者様へ。商材によって出口を分けています。
| 古物市場 | 値段はその日の参加者が決まる。玉は多いが、仕入れ値を計画に組み込めない |
|---|---|
| 卸業者 | 値段は相手との条件で決まる。相手がどこから仕入れているかで中身が変わる |
| 海外直 | 値段は為替と現地相場で決まる。仕入れ値は下がるが、立ち上げが重い |
ルートを増やすより、値段の決まり方を分ける
仕入れ先を増やしても、全部が「その日の相場で決まるルート」なら、仕入れ値は相変わらず読めません。数を増やすことと、性質の違うルートを持つことは別です。
市場で勝負する日と、卸から計画的に引く日。この2つを分けて持っている業者は、在庫が寝にくい。逆に市場一本の業者は、相場が薄い時期に必ず高値を掴みます。毎年2月の前後に、同じことが起きています。
TBTの場合
エルメスを主軸に、年間取引金額は5億円、継続してお取引いただいている事業者様は約20社です。バーキン・ケリーを中心に、ピコタン・コンスタンス・エブリン・ガーデンパーティなど主要な型を扱っています。
業態は問いません。リユース業者様、並行輸入業者様、質屋様、ブランド専門EC業者様、ブランド専門店様。お取引の開始まで、通常1〜2週間です。
仕入れのルートを1本増やすかどうかの判断材料として、条件だけでもお聞きになりたい場合は、法人卸取引のページをご覧ください。
